へェ、と知らず顎に手を遣る。
 どこぞの寝腐れ剣士に似てるような気もするが、活きがよくて捌き甲斐がありそうだ。
 久々の大物を前に、料理人の血が騒ぎ思わずニィと笑みがこぼれたところでふと気づく。
 戦闘バカの剣士が、強敵を前にふてぶてしく笑っていやがるのはこういうことか。
 己の器を推し量る絶好の機会。
 興奮するなって言う方が無理だろ?
 お互い、血には逆らえねェなァ。